10年住んでも田舎者でした

私は大学入学とともに上京し、10年ほど東京暮らしをしていました。
旅行以外で18年間地元の宮城県を出たことがない自分には、東京は「テレビでよく見る街」というイメージでした。
地方に住んでいても、朝の情報番組やゴールデン番組のバラエティ、ドラマの舞台に至るまで、テレビで扱うのは東京のことばかり。
住んでもいないのに街の名前や路線の名前、流行のスポットも知っていました。

実際に住んでみると、頭の中の東京と実際の東京を重ね合わせて答え合わせをするような、デジャブのような不思議な毎日でした。
東京タワーからの夜景も中央線の混雑も上野のパンダもずっと前から知っていて、「テレビで見るよりたいしたことないな」とか、「テレビで見るよりかわいいな」という不思議な感想が浮かんだものです。
また、東京という街はめまぐるしく変化し、成長していく街で、私が暮らしていた10年のあいだにもミッドタウンや東京スカイツリー、ヒカリエなどが開業しました。

「昔テレビで見た景色」が「自分の目で見た景色」で上書きされ、また物理的にも変化していって消え去ってしまった時に、私は「東京の人」になるのかな、と漠然と思っていました。
しかし、自分自身の成長速度は東京の街ほど速くはなく、長く暮らすほどに、根っこの部分はのんびりした田舎者なのだなと感じました。

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